検査遺伝子
ADAMTS17(A disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin motifs 17) は、細胞外に存在する構造タンパク質を分解する「メタロプロテアーゼ(metalloproteinase)」と呼ばれる酵素を産生します。この遺伝子の変異は、水晶体の近視、水晶体偏位、緑内障などの眼科的疾患と関連していることが知られています。本検査は、水晶体脱臼に関連する1種類の遺伝子変異を対象としています。
遺伝病の説明
眼の構造はカメラに似ています。カメラのレンズがフィルムに光を集めるように、眼内にも「レンズ」の役割を果たす水晶体があります。水晶体脱臼とは、この水晶体を支えている靱帯が損傷または弱化することで、水晶体が本来の位置からずれてしまう状態を指します。
水晶体を支える周囲の組織が先天的に非常に弱いことで発生する場合を「原発性水晶体脱臼」と呼び、緑内障や白内障など他の疾患によって引き起こされる場合は「続発性水晶体脱臼」と呼びます。本検査は、遺伝的異常により発生する原発性水晶体脱臼を対象としています。
原発性水晶体脱臼は、一般的に3〜8歳の間に自然に発症し、必ずしも両眼同時に影響を受けるわけではありません。治療せずに放置すると、激しい痛み、網膜剥離、永続的な角膜浮腫などを引き起こし、重度の場合は視力を失うこともあります。