検査遺伝子
TTN(チチン)遺伝子は、筋繊維の弾力性維持と構造的安定性に関わる重要なタンパク質「チチン」を生成します。TTN遺伝子の変異によってチチンタンパク質に欠陥が生じると、筋細胞の収縮および弛緩機能に障害が起こります。このようなメカニズムにより、TTN遺伝子の変異は一部の犬種においてDCM(拡張型心筋症)の発症リスクを高める重要な遺伝的因子とされています。TTN以外にも、PDK4(ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4)、MYBPC3(ミオシン結合タンパク質C)など心筋収縮に関わる遺伝子が研究されていますが、本検査ではTTN遺伝子内の特定の変異(C>T)を対象とし、先天的リスクを評価します。該当する変異は常染色体劣性遺伝形式をとり、変異遺伝子を2つとも受け継いだ場合にリスク群と判断されます。
遺伝病の説明
拡張型心筋症(Dilated Cardiomyopathy、DCM)は、心筋が薄くなり拡張することで心室の収縮力が低下し、心拍出量が減少する進行性の心筋疾患です。主に左心室に影響を与えますが、場合によっては両心室の機能が低下することもあります。心不全、不整脈、肺水腫などの症状が現れ、治療を行わない場合は急性心不全による死亡のリスクもあります。