検査遺伝子
TUBB1遺伝子は、微小管(マイクロチューブ)を構成するβ-チューブリン(β-tubulin)の一種をコードしています。巨核球が血小板を産生する過程において、β-チューブリンは微小管骨格の形成およびその分裂・組み立ての調節において中心的な役割を果たします。この遺伝子に変異が生じると、血小板の産生機構に異常が生じ、血小板数が正常に維持されなくなります。一部の変異は血小板の大きさにも影響を与え、巨大血小板(マクロトロンボサイトペニア)を伴うことがあり、その結果として血小板機能が低下し出血リスクが高まります。
遺伝病の説明
TUBB1遺伝子の変異によって引き起こされる犬の血小板減少症(Thrombocytopenia)は、血小板を産生する巨核球の微小管構成に異常が生じることにより、体内の血小板数が正常範囲より著しく低下する先天性疾患です。血小板数が不足すると、傷口の止血が円滑に行われず、頻繁な粘膜出血や皮膚の点状出血・斑状出血などが見られることがあります。臨床症状は軽度の鼻出血から致命的な内出血まで多岐にわたり、一部の個体では明確な出血症状が見られず、偶然の検査で発見される場合もあります。