検査遺伝子
CNGB3(Cyclic Nucleotide-Gated Channel Beta 3)遺伝子は、網膜の錐体細胞膜に存在するcGMP依存性イオンチャネルを構成するタンパク質をコードしています。このチャネルは、光刺激を電気信号に変換する上で不可欠な役割を果たします。CNGB3に変異が生じると、錐体細胞が正常な信号伝達を行えなくなり、特に明るい照明条件下で重度の視力障害が現れます。こうした機能喪失は多くの場合、劣性遺伝形式を取り、変異アレルを2つ保有する個体で臨床症状が発現します。
遺伝病の説明
CNGB3遺伝子変異によって生じる犬の昼間視覚喪失症(いわゆるAchromatopsia)は、網膜の錐体細胞機能が失われ、明るい光の下で視力が著しく低下する遺伝性疾患です。夜間や屋内など暗い環境では比較的正常に近い視覚を保つことができますが、強い日光の下では物体を識別するのが困難となり、日常活動に支障を来すことがあります。一部の個体では色の識別が困難で、完全色盲と認識されることもあり、併せて羞明(まぶしさ)、視線の不安定、行動の萎縮などの症状が見られる場合もあります。