検査遺伝子
軟骨異形成症(Chondrodystrophy, CDDY)に関連して、FGF4(線維芽細胞増殖因子4)遺伝子のレトロコピー(retrogene)変異が最も多く報告されています。特に染色体12番上に存在するFGF4関連レトロコピー変異は、椎間板内の髄核(nucleus pulposus)の早期石灰化および変性と密接に関係しています。この変異が存在すると、椎間板が本来の機能を長く維持できず、衝撃吸収作用が大きく低下するため、椎間板疾患(IVDD)が発症しやすくなります。近年では、染色体18番上のFGF4変異が主に四肢の長さに影響を与えるとの研究結果もありますが、CDDYに関連する変異は染色体12番に限定されているとされています。遺伝子検査により保因個体を識別することが可能であり、保因犬は将来的に椎間板疾患を発症するリスクが高いため、注意深い管理が必要です。
遺伝病の説明
犬に見られる軟骨異形成症(Chondrodystrophy, CDDY)は、骨の成長板(軟骨板)に異常が生じ、四肢が短くなる形態的特徴とともに、髄核の早期石灰化によって椎間板ヘルニア(Intervertebral Disc Herniation)を発症しやすくなる遺伝性疾患です。この疾患は、胴が長く足が短い犬種でよく見られます。軟骨異形成症は椎間板構造の変性を加速させ、椎間板疾患(IVDD)を引き起こします。そのため、日常的な活動や外的衝撃によっても椎間板が容易に脱出し、脊髄神経を圧迫します。この状態を放置すると、歩行障害、麻痺、疼痛、排尿困難などの神経症状が急速に悪化し、重篤な後遺症を残す恐れがあります。重症の場合には安楽死(euthanasia)を検討せざるを得ないこともあります。