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呼吸困難症候群

検査遺伝子

ADAMTS3(ADAM metallopeptidase with thrombospondin type 1 motif 3)遺伝子は、重要なシグナル伝達機能を持っています。この酵素は血管内皮成長因子C(VEGF-C)をタンパク質分解によって活性化し、これによりリンパ管形成(lymphangiogenesis)が促進されます。本遺伝子で確認された特定のミスセンス変異(c.2786G>A、1つの塩基対が変化し、アミノ酸が別のアミノ酸に置き換わる変異)は、上部気道症候群(UAS)と関連があり、リンパ系の機能を妨げることで組織内の体液貯留(浮腫)を引き起こすと考えられています。その結果、気道周辺組織が腫れて呼吸困難を引き起こすメカニズムが形成されます。

遺伝病の説明

気道閉塞により呼吸困難を引き起こす上部気道症候群(Upper Airway Syndrome、UAS)は、特定の犬種でよく見られる疾患です。近年の研究では、ADAMTS3遺伝子のミスセンス変異がこの症候群の原因の一つであることが明らかになっています。この研究結果は、従来の短頭種に見られる解剖学的要因に加えて、遺伝的要因も気道障害の原因となり得ることを示唆しています。